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犬の膿皮症|症状や原因、治療法について獣医師が解説

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千葉市、市原市、茂原市のオーナーの皆様、こんにちは。

千葉市中央区のくるり動物病院にとなです。

 

今回は犬の膿皮症についてお話しいたします。

 

膿皮症は、皮膚に常在する細菌が様々な理由により著しく増え、感染を起こしてしまう病気です。

 

犬の皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層から構成されています。表皮はさらに角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層から作られています。皮膚の最も表面にある角質層は、皮膚の乾燥を防止するほか、病原菌や外部環境中のアレルゲンなどの侵入を防ぐ役割を果たしています。

 

角質層の他にも、被毛や皮膚の常在菌、免疫防御機構などが協力して皮膚のバリア機能を担っています。

しかし、さまざまな要因により、皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚に感染が起こり、膿皮症を発症します。

 

 

膿皮症の原因

 

犬に膿皮症を起こす最も一般的な要因は、アレルギー性皮膚炎と内分泌疾患です。

そのほかにも、さまざまな誘発因子があります。

 

・アレルギー性皮膚炎:アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ノミアレルギーなど

・内分泌疾患:副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症など

・高温多湿の環境

・不適切なスキンケア:合わないシャンプーの使用、過剰なシャンプーやブラッシング、シャンプー不足、ドライヤーの長時間使用など

・外傷

・ニキビダニや真菌などによる感染症

・免疫機能を低下させる治療歴:ステロイドや抗がん剤など

・免疫機能の低下:高齢・幼齢の犬

・悪性腫瘍

 

膿皮症の原因菌

 

犬に膿皮症を起こす原因菌は、Staphylococcus pseudintermediusという犬の皮膚に常在するブドウ球菌であることがほとんどです。

そのほか、特に皮膚の深部に起こる深在性膿皮症では、シュードモナス菌やプロテウス菌、大腸菌などが原因になることもあります。

 

膿皮症の症状

 

膿皮症は3つのタイプに分類されます。

 

  • 表面性膿皮症

皮膚の表面だけで細菌が増殖し、皮膚が赤くなる軽度の皮膚炎です。抗菌シャンプーや外用薬だけで良化することがほとんどです。

 

  • 表在性(浅在性)膿皮症 

皮膚を構成する3層のうち、表皮と毛包に病変が起こる皮膚炎です。

表在性膿皮症では、皮膚の一部もしくは広範囲に痒みや赤み、赤いぷつぷつとした湿疹(丘疹)、ニキビのような小さな膨らみ(膿疱)、白っぽいかさぶた(痂疲)、脱毛などがみられます。また、皮膚の炎症が長く続くと、皮膚の色が黒っぽくなることもあります。(色素沈着)

 

3、深在性膿皮症

深在性膿皮症は、皮膚の奥深くにある真皮と皮下組織に起こる皮膚炎です。通常、表在性膿皮症が悪化することにより起こります。

深在性皮膚炎では、痒みだけではなく、痛みを伴うことが多く、おできのような腫れ(せつ腫)や、患部に出血や膿を伴うただれ(潰瘍)がみられます。悪化すると、広範囲に腫れや熱感を示すようになり、発熱することもあります。

 

*マラセチア皮膚炎

膿皮症によく似た症状を示す病気に、マラセチア皮膚炎があります。マラセチア皮膚炎は、皮膚に常在するマラセチアという酵母菌が増殖し、感染を起こす病気です。細菌感染と併発することもあります。マラセチア皮膚炎に対する治療法は異なるため、膿皮症との鑑別が必要です。

 

膿皮症の診断

膿皮症の診断を行うには、まず、皮膚の病変部からセロハンテープやスライドグラスを皮膚に押し付けてサンプルを採取し、染色して顕微鏡で観察する簡易的な検査を行います。

 

さらに、膿皮症の原因を究明するため、院内では被毛検査やウッド灯による真菌検査、内分泌の病気などを調べるための血液検査を行うことができます。

 

また、アレルギー検査(40項目のアレルゲンに対する反応を調べる血液検査)や細菌培養試験・薬剤感受性試験(感染の原因菌を特定し、その細菌に対してどのような抗生物質が効果的なのかを判定する検査)など、外部検査機関での検査も有用です。

特に、膿皮症がなかなか治らない、もしくは深在性膿皮症の場合には、細菌培養試験・薬剤感受性試験を早期に行うことが推奨されます。

 

膿皮症の治療

膿皮症の程度や発症範囲により異なりますが、基本的には以下のような治療を行います。

また、膿皮症の原因となる病気の治療も必要です。

 

・抗菌薬(抗生物質)

 

膿皮症の程度と病変範囲により、内服の抗菌薬が必要になります。

指示された期間よりも早くに抗菌薬の投与をやめてしまうと、膿皮症の再発や、耐性菌を作り出してしまう可能性がありますので、処方されたお薬はすべて飲み切りましょう。

また、効果がみられないときには、細菌培養試験・薬剤感受性試験を実施し、その結果に基づき、より適当な抗菌薬に変更することもあります。

内服が難しい場合には、注射で投与することもできますが、効果が長期間持続する注射抗菌薬の種類は少なく、薬剤感受性試験結果によっては、注射で投与することができないこともあります。

 

・シャンプー療法

 

細菌に効果的な薬用シャンプーを用い、週に1~2回、もしくは症状に合わせて全身、または患部を洗います。

当院では、皮膚をやさしく洗浄することができるマイクロバブルを完備しており、薬用シャンプーと合わせて治療することもできます。

薬用シャンプーやマイクロバブル洗浄後は、皮膚を乾燥させてしまうことが多いため、保湿剤を併用するとより効果的です。

 

・消毒薬

薬用シャンプーを行わない日に、患部を清潔に保つため、消毒薬を使用することもできます。

 

・痒み止め

痒みがひどい時には、外用もしくは内服のかゆみ止めを使用することがあります。

 

おわりに

膿皮症は、犬にとてもよくみられる皮膚病です。

特に、アレルギー性皮膚炎など、膿皮症を誘発する病気をもつワンちゃんでは、再発が多くなります。

膿皮症がよくなった後も、肌に優しい低刺激のシャンプーを使った定期的なシャンプー療法、保湿剤、サプリメントなどで日頃のケアを行い、できる限り再発を防ぎましょう。

 

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